ワールドネバーランド~ゼーン大陸物語~のプレイ日記です。 ネタバレ等考慮しておりませんのでご注意を。 *掲載されている画像等の著作権は株式会社アルティにあります。

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雪の道を、ふたりで。
ええと・・・いろいろと記事が溜まりすぎている中の人です、おはようございます。
でも小説は書きたくなったときが旬!というわけで、樹&八葉の小説を更新ですの。
それでは、どうぞ・・・。
これは、樹君が天命の誕生日を迎えたその日の話・・・。


ぱちりとはぜる、薪の音を聞きながら、八葉は何度目かのため息をついた。
テーブルの上に並んだ、贅沢ではないけれど工夫を凝らしたご馳走たちは、今日の主役が帰ってくるのを待つことなく冷め始めている。

今日は、八葉の夫であり、この家の大黒柱、樹の誕生日である。
そのお祝いのために、ちゃんとご馳走を作って待っているというのに、肝心の樹がちっとも帰ってこないのだ。

八葉は席を立ち、そっと揺り篭に眠る葉樹に近づいた。
葉樹はさっき満腹になったばかりで、ぐっすりと眠っている。
可愛い我が子の寝顔に口元を緩ませ、起こさないように小さな声で話しかけた。
 
「葉樹、お父さんがあんまり遅いから、ちょっと迎えにいって来るね」
 
静かに静かに、その場を離れて、八葉は夜の外気の中に滑り出した。
 
雪を踏みしめながら、やや急いで歩いていく。
迎えにいくとは言っても、具体的な心当たりは一箇所のみであった。
すれ違ってしまう可能性の方が高いのはわかっていたが、それでも探しに行きたかった。

(樹君・・・どこ?)
 
ふと。

どこからか声が聞こえた気がした。
その声に導かれるように、目指していた方向とは別の角をまがる。
教会へ抜けるその道を歩くにつれ、なぜかより強く、前へと呼ばれる感覚がして・・・。
 
「八葉?」
 
半ば駆け足でたどり着いた教会の前に、樹がいた。
息を切らしている八葉を見て、驚いたようにそちらへ向かう。

「どうしたの?」

「呼ばれた・・・気がして・・・」
 
樹の問いかけに返した自分の答えが、まともな返答になっていないことに気がついて、八葉はとりあえず息を整えようと大きく息をする。
大丈夫か、と聞いてくる彼の視線に、小さな笑顔で答えると、八葉はここに来た経緯を説明した。
帰りの遅い樹を探しに出たが、特にあてがあったわけでもなかったこと。
何かに呼ばれた気がして、それに導かれるようにここへ来たこと。
短い説明を聞いて、樹は
「そっか・・・」
とだけ言って、視線を教会に移した。
八葉も、夫に倣うようにその横に並び、教会を見上げる。
 
もしかしたら。
神様、貴方が私をここへ導いてくださったのですか?

心の中での問いかけに、誰も答えるものはなく。
しばしの静寂が、その場に訪れた。
時間すら吸い込んで、そのまま止めてしまいそうな静けさの中、ただじっと、二人同じものを見つめていた。

くしゅっ

小さなくしゃみが空気を震わせ、それがようやくこの空間に流れる時間を取り戻した。

「大丈夫?」

樹の問いかけに、恥ずかしげにうなずく八葉を見て、彼はそっと笑う。

帰ろうか、と、いつものように差し出された腕に、八葉は迷わず腕を絡める。
今までとその腕の力強さや暖かさは少しも変わらないのに、何故だか少し泣きたくなった。
今日の誕生日で、樹は天命を迎える。

一緒にいられるのは、あと一年。
これまで遠いことだと思っていた別れの日が、急に足音を高めて迫ってきたような。
そんな感じに襲われて、八葉はほんの少しだけ腕に力を込めた。

この道を、後何回一緒に歩けるだろう。
今までと同じように、こうして二人よりそって、何回歩けるのだろう。
二人の息子がいて、樹がいる、宝物のような「普通」の日々を、後何日過ごせるだろう。
 
もうすぐ、別れの時が来る。
消して逃れることのできない永遠の別れの時が。
ならばその時まで。
このかけがえのない宝物を、両手で抱きしめていよう。
最期に笑顔で「お疲れ様」といえるように。
笑顔と幸福と愛の詰まった1年を過ごそう。
樹君の生涯が、ずっと幸せだったといえるように。


暖かな明かりの灯った家まで、二人で歩く。
つないだ手は、どこまでも暖かい。
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樹君や、景や葉樹、それに心ちゃんたち、私の大事な人たちが幸せだと、私も幸せなの。
だから樹君が幸せだったと言ってくれるなら、それがすごく嬉しい・・・w
きっと私がケヤロトへ行く時は、一番に迎えに来てくれるだろうと思うから、それまでちょっとだけ会えないだけだしね・・・w
八葉 | URL | 2007/01/21/Sun 16:58[EDIT]
母さんにこんなに想ってもらえる父さんは幸せだなぁ…。
家族4人で過ごせるのもあと少しだと思うと切なくなる。
母さんの悲しむ顔は見たくないから
根性出してもう1年くらい頑張れよ!と思ってしまう。
憎らしい事に当の本人は笑顔で「幸せだった」と逝くんだろうけど。
| URL | 2007/01/20/Sat 09:32[EDIT]
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