ワールドネバーランド~ゼーン大陸物語~のプレイ日記です。 ネタバレ等考慮しておりませんのでご注意を。 *掲載されている画像等の著作権は株式会社アルティにあります。

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奇跡の連鎖
皆さんこんにちは、お久しぶりの小説更新です。
今回は死者達とエコナのお話…以前のミロからもらった絵について発展させていったらこうなったよ?的なお話です。

ミロからの絵はこちら

ちょっと設定がいろいろあって、通常のゼーンとは異なっているのでご注意ください。

それでは、どうぞ…。


静かな鎮魂の調べとともに、祈りの声が宙に溶けていく。
私にとって見慣れた光景。

ケヤロトにて与えられた私の仕事は、魂を銀の天船に乗せ、無事にケヤロトまで送り届けること。

今、私と巫女以外には誰もいない催事場で、静かに召天の時を待つのは、唯一人私を見出した女性であった。
誰も見ることの出来ないはずの私の姿を見て、私の声を聞き、そして私の役目を聞いて、泣いた女性。
この世のどんな宝玉よりも美しいその涙は、何故かひどく私の胸を騒がせた。



 -泣かないで。君の涙は何故か痛い。

   -魂を刈るなんて もうやめて…。

 -ゴメン、これが仕事なんだ…。

 泣かせてばかり、いた気がする。
 それでも私は、私だけを真っ直ぐに見るその視線を求めることをやめられなかった。

 彼女が私と共にあることを望んだ時、私は人を真似て小さな家を建てた。
 休息のための寝台やイス、日々の食事をまかなうキッチン、潤いを与える美しい花々…。
 彼女のためだけに整えられたその場所で、彼女は長い時を過ごした。
 睡眠も食事も必要としない、人とは異なる私と共に。

 


 最期の瞬間、彼女は私を枕元に呼んで、そっとささやいた。

  -最期まで一緒にいてくれてありがとう…。
  
  -すごく、幸せ…。

 ふわり、柔らかく儚い笑顔を残して、彼女は肉体を失った。

 彼女が動かなくなった時、不意に衝撃が私を襲った。
 ぐらりと視界がゆれ、一瞬全てが闇に包まれる。

 自分の存在を、根幹から否定されたような…。

 遠のきかかる私の意識に、ふと暖かな何かが触れた。
 次の瞬間戻ってきた視界に映ったのは、頼りなく浮かぶ彼女の魂だった。

 そうだ。
 まだ、終われない。

 彼女の魂を、ケヤロトへ送り届けなければ。



「…ケヤロトへの扉を開きたまえ」

召天のための儀式が、今終了する。
私は無言で、手の内に呼び出した大鎌を振るう。
彼女の魂を、刈り取るために。
ヒュ、という軽い風切り音と共に、彼女とこの世をつなぐ糸が断ち切られる。

ふわりと浮かんだ魂を、私はすぐにこの腕で抱きしめた。

純粋で、無垢で、瑕一つない魂を、守るようにマントの中に包んで、覆い隠して。

軽く地を蹴り、真っ直ぐに空へ昇った。

空の高みの船着場には、これから生まれ変わる魂と、それらを運ぶ神の農夫を乗せた船がせわしなく行き来している。
そのうちの一つに乗って、私は静かにケヤロトへと漕ぎ出した。

船着場を離れていくらもしないうちに、たちまち船の周りに悪意の群れが群がり始める。
ウドラクへと、この船ごと魂を引きずり込もうとする輩が、無数の誘惑をぶつけてくる。


(その魂を失いたくないんだろう?)

 (このまま進路を外れてしまえ)

(ケヤロトへついてしまえば、手放さないわけにはいかなくなるぞ)

 (このまま進路を外れてしまえ)

(船に乗ったままでいる限り、永久に共にいられるんだぞ)

 (このまま進路を外れてしまえ)


「…うるさい」

静かな、しかし気迫のこもった声に、一瞬だけ周りがしんと静まり返る。

守ると、決めたのだ。
どれだけの誘惑をされようとも、自分が彼女をこれ以上不幸にするわけにはいかない。
彼女には、ケヤロトで光に包まれた穏やかな休息を。
そして来世こそは、本当に幸せになって欲しい。

祈りにも似た気持ちを込めて、櫂をこぐ。
ケヤロトへの門を目指して、一心に。

どれほどの時がすぎただろうか。
気づけば自分達の周りから、悪意たちは姿を消していて。
そして目の前には、ケヤロトへ続く光の門があった。
門の前の船着場に、そっと滑り込む。
そばへやってきたラーフリアに、大事に隠していた彼女の魂を預けて。

私はほっと、満足の笑みを浮かべた。

再び船に乗って帰ろうとする私に、ラーフリアが「ご苦労様」と声をかける。
軽く手を挙げて応え、もやい綱を解こうとした瞬間に。

ぐらり、とまた視界が揺れた。
再び暗闇の中に閉ざされた世界は、もう私に呼びかけることはなく…。

ぱさりという軽い音にラーフリアが振り返ると、先ほどまでそこにいたはずの農夫の姿が消えていた。
代わりに船の上にあるのは、紺の帽子と、そして。
魂と呼ぶにはあまりに不完全な、小さな小さな命の欠片が浮かんでいた。

歩み寄ったラーフリアの手に、欠片はそっと救い上げられる。
しばらく思案するようにその欠片を見つめていたラーフリアだが、にこっと笑顔を浮かべて

「生まれ来た新たな命に祝福を…」

そうして、その欠片はケヤロトへ迎え入れられた。

命なき者に命を与えた、稀有な魂と共に。




それからしばらく後に、ゼーンの地に新たな命が生れ落ちる。
一つは、もはや誰もいないはずのあの家に。
一つは、もうすぐ仙人になってしまう夫婦の元に。


解説ないときっとわかりにくいと思うので、以下解説。

死者達はケヤロトの使者です。
魂を刈ってケヤロトへ送り届けるのがお仕事。
普通に生まれてきた人ではないので、眠りませんし食事も必要ありません。
そもそも実体がないので普通の人には見えませんし。
ずっと長い長い間お仕事をしていたのですが、ある時自分が見える少女に出会ってその運命が大きく変わってしまいます。
感情を持たないはずの彼の中に、愛という気持ちが芽生えて、彼の存在は変容していきます。
その結果、執着していた彼女の魂を無事に送り届けた後、ケヤロトの使者としての彼は消滅してしまいます。
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Comment

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>葵ちゃん
うんうん、二人はきっと幸せだったはず!
こういう切ない話もいいよね。
蓮葉(死者達) | URL | 2007/06/23/Sat 23:44[EDIT]
ええ話や…(ホロリ
死者達、幸せな人生(?)を送れてよかったね…!
| URL | 2007/06/23/Sat 21:00[EDIT]
エコナが私といて、幸せだったと思っていてくれるなら、これ以上の幸せはないね。

(さらに解説:死者達はちゃんとした感情がないので、人がどう感じるか、どう思っているのかを察することができません。脳内設定では一番不遇な配偶者に…)
蓮葉(死者達) | URL | 2007/06/23/Sat 09:18[EDIT]
切ない!
けどいい話だぁぁ(ノДT)
エコナちゃんは死者達くんと結婚できて
本当に幸せだったよ!
もちろん死者達くんも!
莉奈 | URL | 2007/06/23/Sat 09:09[EDIT]
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