ワールドネバーランド~ゼーン大陸物語~のプレイ日記です。 ネタバレ等考慮しておりませんのでご注意を。 *掲載されている画像等の著作権は株式会社アルティにあります。

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

祭りの夜
おまたせ?しました。
菊と揚羽の小説の続きです。
出会い を呼んでいなくとも読めますがw
それでは、どうぞ・・・。


ぽん、ぽん、と、軽く音を立てて花火がはじける。
夕暮れの空に、白い煙の華が咲く。

今日は、皆が待ちに待った高天祭の日。

私は一人、揚羽の家へと走っていた。
二人で一緒に、華山の祭り会場に出かける約束をしていたのだ。

「揚羽ちゃん、お待たせ!」

少し遅れてしまった私に、揚羽は少々不機嫌だった。

「菊君遅いのだ!早くしないと花火始まっちゃうのだ!!」

赤子の頃、薄い茶色だった髪は今、さらに薄くなり、かすかな明かりに桃色に輝いている。
頭の上で二つに束ねた髪を揺らし、揚羽は私の顔を覗き込んだ。

「ご、ごめんね。」

あわてて私は頭を下げ、揚羽を下から見つめる。

「遅れちゃった僕が言うのもなんだけど、ほんとに早く行かないと、花 火最初から見られなくなっちゃうよ。」

「あ、そうだったのだ!早く行くのだ!!」

僕の言葉に、揚羽ははっとして、たちまち駆けていった。

「あ、待ってよ!」

夕暮れの薄闇の中、揚羽の浴衣の袖がひらひらと舞って。
その足が地面をけるたびに、薄紅の髪がひょこんと上下する。
走る揚羽を追いかけながら、僕は目の前の蝶々に見とれていた。

私たちがお祭り会場についた頃には、もうそこにはたくさんの人がいた。
親切な大人たちが、笹を切り倒して子供に配っていた。
揚羽も私も、笹をもらい、願い事を短冊に書いてつるした。
数十年に一度の星のめぐりの奇跡が起こす、この高天祭の夜に、星に願うはひとつだけ。

(揚羽ちゃんと、ずっと仲良しでいられますように・・・っと)

幼いあの日に、星にかけた願いは、今までずっと叶い続けている。

願い事を書き終わって、花火までの時間を、揚羽と一緒に夜店をめぐってつぶした。
フレ飴、アッタコ焼きなど、お祭りのときにしか見ないような食べ物たちをほおばりながら、花火を待つ。
しばらくして、人々の喧騒をかき消すほどの音が響き、夜空に大きな花が浮かんだ。
はっ、と皆が南天を見上げる。
どん、どんと何発も続けて打ち上げられる、特大の花火。
次々に咲いては散る花に、誰もがため息をこぼした。

そんな中、私は一人懐に入れた紙包みの感触を確かめると、隣の揚羽の顔をうかがった。
大きく目を見開いて、食い入るように空を見つめる揚羽をみて、少し声をかけるのがためらわれたが、えい、とばかりに名前を呼んだ。

「揚羽ちゃん、ちょっといいかな?」

「ん、どしたのだ?」

花火の音に負けないように、少しだけ揚羽に近づいた。

「これ、揚羽ちゃんにあげる。来る途中で見つけたんだ。」

そういって、懐から出した紙包みを開いて見せた。
そこから、わずかに青い光を放つ星のかけらが顔を出し、花火の光を受けてちかりと光った。

それは、この時期にだけ地上に降り注ぐ、天からの贈り物。

「え、菊君・・・」

今日、揚羽の家に行くのが遅れたのは、夕焼けの中で輝く星のかけらがきれいだったから。
どうしても、それを揚羽に渡したかったから。
一瞬受け取るのをためらった揚羽に、半ば押し付けるように包みを渡した。

「・・・ありがとう、嬉しいのだ」

そういって、私に笑いかけた、揚羽の笑顔。
この笑顔もまた、私の大切な宝物のひとつとなっている。


スポンサーサイト

Comment

 秘密にする

Track Back
TB*URL

Copyright © 譲葉の森. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。